ひだ地学第57号 1998年12月5日発行   ホーム 目次

清見村竜馬石・竜ヶ峰安山岩

巡検日:1998年11月3日

竜馬石を観察する会員達 

 さる、11月3日、清見村「竜馬石」などの巡検を以下のように行いました。
@ 案内者:岩田 修
A 場所:清見村「竜馬石」「竜ヶ峰安山岩」など
B 参加者:木下耕一(+子供2名)、小坂光三、寺門隆治、下畑五夫、中口清浩、中田裕一、舩坂忠生、三塚洋

 快晴の中、例年より遅い紅葉もきれいで楽しい巡検でした。B&Gに9時すぎに集まり、4台の自動車に分乗し、せせらぎ街道を西ウレ峠に向かいました。車中で岩田先生の得意のジョークを一発。「紅葉を見にいこうよ。」
 峠を少し降りたところからせせらぎ街道を左折して東側の林道に入ると目的地、竜ヶ峰です。竜ヶ峰は、広々とした高原になっています。竜馬石の標識のあるところから、ササ藪が切り開きを200mほど入ると竜馬石がありました。
 木下さんのお子さん2名が元気です。そこで岩田先生や下畑先生を中心にいろいろ語り合いました。
 天馬が好物のササに誘われて降りて石になったという竜馬石は、近くの烏帽子岳火山の溶岩と同じ年代だと仮定すると、この付近で130万年くらい前に噴火した溶岩が安山岩となったものです。付近の地面を掘れば、竜馬石のような安山岩の岩塊があるはずです。ペトログラフの人達によると、竜馬石の表面の彫ったような線状模様は、6千年くらい前に古代人が彫ったものだといいます。
 しかし地質学的に見ると、竜馬石にあるような六角形や五角形の模様は、マグマが冷えるときに、岩石の表面と内部の温度差によりできることがあります。また、安山岩となった後も、気温の変化や雨の作用により岩石が膨張・収縮を繰り返すうちにもしばしばこのような割れ目模様ができます。やがて岩石は、表面からはがれてだんだん壊れるそうです。ただし、六角形や五角形の内部にもうひとつある形の整った円形模様は、後から人が彫った可能性もあるとのことでした。
 このあと林道をもどり、せせらぎ街道の反対の西側にある高原に行きました。ここは広大な牧場になっていて、やはり竜ヶ峰と同じ安山岩の岩塊があります。牧草地の向こうはカラマツの林があり、まるで北海道のようだとみんなで話あいました。安山岩の岩塊が集まった場所で昼食をとりました。白山や御岳が高原の青空の向こうに見えます。しかし、ここでアクシデント。牛の糞があちこちにあったのです。あちこちで、「ギャー、踏んだ。」という声が聞こえました。グニャーという感触で足元を見ると、緑色の糞が靴についていました。
 木下さんの2人のお子さん(小学生)が、さかんに岩田先生をからかって(なついて)います。これを見かねた中口さんが、「学校へもどれば、この人は教頭先生だよー。」と言いました…が、効果はないようでした。岩田先生のおおらかな人柄が良かったのでしょう。
 見晴らしのよいところで白山をバックに記念写真を撮り帰路につきました。うららかな日和でたいへん楽しい巡検となりました。今度の巡検は、トンチャンとビールを準備してこようという話です。次回には、他のみなさんの参加も歓迎したいと思います。