下呂町から見たヘール・ボップ彗星 |
夜空にぼんやり輝くヘール・ボップ彗星
ヘール・ボップ彗星は、史上最大級の明るさを持つといわれ、約4,300年ぶりに地球に接近しました。それは、平成9(1997)年3月から5月のことでした。これほど長い期間見える彗星は珍しいといいます。この彗星は、平成7(1995)年7月、地球から約7天文単位(約10億km)離れた宇宙で10等級の明るさで発見されました。発見者は、アメリカのアラン・ヘールとトーマス・ボップさんです。 彗星の核は、氷に炭素や窒素などが混ざったものです。彗星は、太陽系の外側からやってきて太陽系のかなたに去っていきます。また彗星は、太陽の近くでは速度を上げ、太陽光線の輻射熱によって表面の氷などが溶けて噴き出して輝くようになります。 肉眼でも尾が観察できると知り、同年3月30日、下呂温泉の明かりをさけて下呂町乗政まで撮影に行きました。日没後、夜7時すぎには西の空にぼんやり輝く彗星を確認できました。この写真はそのときのものです。写真の上方のうすく青い尾は、太陽風(太陽からやってくる超高速の粒子)に吹き流されるイオンの出す光です。下方の明るい尾は、太陽の輻射熱により、彗星が放出した固体粒子(ちり)の尾です。固体粒子は、青い尾のイオンに比べ噴出す速度が遅いため、彗星の移動にともなって曲がって見えることが多く、イオンの尾とは別方向になびきます。2つの尾とも太陽の反対側になびいています。(中田 裕一) |