大野郡丹生川村  ホーム 目次

飛州騎鞍嶽

高山盆地からの駒鞍嶽こと乗鞍岳

 

乗鞍岳は、飛騨側からの眺めが大層よく、昔から飛州騎鞍嶽(飛騨乗鞍岳)と呼ばれてきました。特に高山盆地からは、乗鞍岳の優美な姿を一望のもとに見渡すことができます。四季折々の優美な姿は見飽きることがありません。
 江戸時代の享保年間、飛騨国代官を務めた長谷川忠崇によって書かれた『飛州志』には、乗鞍岳についての次のような興味深い記述があります。「山肌の色が赤く、信州の浅間山に似ている。上の方に24町×4もしくは5町ほどの広原があり、その傍らに6・7尺くらいの穴が2つあるがその成因はわからない。このあたりただならぬ臭気がし、目が痛い・・・・・。」
 おそらく噴気孔があり、そこから火山ガスが活発に噴出していたのでしょう。この広原とは、畳平や桔梗ヶ原あたりのことを指しているのでしょうか。現在このあたりはこのような噴気活動はみられませんが、桔梗平の信州側2000m地点には湯川温泉があります。さらに、湯川の下流には有名な白骨温泉があります。また、少なくとも8000年前より新しい時期の火山灰など噴出物の地層が10枚程度確認されています。地形的にも新鮮な火山体を残していることなどから、まだマグマ活動を停止していない活火山であろうと考えられています。
 乗鞍岳は、かって雨乞いのために登ったように信仰の対象でした。やはり、飛騨の地から眺めてこそ、その素晴らしさがより堪能できる火山のような気がします。(下畑五夫)