御嶽火山の1978年噴火 |
火山と人間の時間の流れ
大平展望台からの御嶽山(濁河温泉は左手奥、中央の谷が兵衛谷
奥上段左は草木谷溶岩流の平坦面)
1979年10月28日早朝、長い沈黙を破って突然噴火しました。朝ニュースを聞いてすぐ、御嶽の見える所へ出かけました。山頂付近からモクモクと噴煙を上げる御嶽が目に飛び込み、これは大変なことだと思ったものでした。しかし、この活動は早くも翌29日早朝には治まりました。主な活動は水蒸気爆発、火山灰や放出岩塊には、新たなマグマは認められませんでした。有史以来初めての噴火ということで話題になりました。しかし、火山の一生は、人間の持つ時間感覚などでは到底推し量ることができないことを思い知らされた出来事でした。火山など地質現象は、実に悠久の時間の流れの中で進行しています。 この御嶽は、20〜30万年前に活動を始め、数万年単位の活動期と静穏期をそれぞれ2回繰り返したといいます。最初の活動で古期御嶽火山が、次の活動で新期御嶽火山が形成されました。その活動期でも、人間からすればかなり長い時間間隔をおいて活動を繰り返しています。このような地質学的に認められる活動の痕跡は、規模が大きくないと残されません。1978年の噴火は、おそらく地質学的な痕跡は残らないでしょう。 (下畑五夫) |