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夏山の山谷風と夕立

 
夕立後の虹(三俣山荘より 2001年8月14日)
 2001年の夏季、飛騨山脈の双六岳(2,860)や三俣蓮華岳(2,841m)等ノ山頂に気温。相対湿度の小型センサーを設置し回収しました。その結果、山谷風と晴天日の午後の夕立の関連がわかりました。
 山谷風のうち、山風は夜間から午前中に吹く風です。晴天日の放射冷却による冷気流で相対的に重いため、谷の下流へ流れる風です。一方谷風は日中に吹く風です。日射により暖められた暖気なので谷の上流に吹きます。晴天日が続けば、両者の風は、規則正しく日変化して入れ替わります。
 観測期間中、8月14日に三俣蓮華岳から三俣山荘まで入山し、天気変化を観察しました。当日、快晴でしたが午前10時頃から雲が出始め、午後3時頃夕立、午後4時半ころ雨が上がり晴れるという典型的な夏山の天気変化でした。
 双六岳や三俣蓮華岳周辺では、午後3時から4時にかけて5℃程度気温が急下降しました。夕立とともに上空の寒気が下降した影響だと思います。ふもとの栃尾のアメダスデータによると、午前10時ころから西寄りの谷風が吹き、夕立の間は南寄りの風、夕立が終ると北寄りの山風が吹きました。南寄りの風は、日射による局地的低気圧に吹き込む風だと推測します。
 後に調べて見ると、夕立のとき、ちょうど三俣蓮華岳を通り、飛騨から信州にかけて風の不連続線(北寄りの風と南寄りの風のぶつかる地帯)が現れ、不連続線上で所々降水が観測されていました。
 つまり、夏山の天気や夕立は、飛騨山脈とその周辺の山谷風の日変化と関連しています。(中田 裕一)