吉城郡上宝村・飛騨市神岡町  ホーム 目次

夏山の山頂の気温

 
飛騨山脈中央部の山並み
左(南)から双六岳・稜線後の笠ヶ岳・丸山・三俣蓮華岳
(鷲羽岳より)
 2001の夏、南から順に飛騨山脈双六岳(2,860m)、三俣蓮華岳(2,841m)、黒部五郎岳、(2,840m)、薬師岳(2,926m)の各山頂に、気温と相対湿度のセンサーを設置しました。夏山晴天日の山谷風と各山頂の気温・相対湿度の変化を調べることが目的でした。
 その結果、南に位置する山ほど、午前中の早い時刻から気温が上昇し、そのピークの値も大きいことがわかりました。特に双六岳では、最高気温が20℃以上に達することも珍しくありません。さらに双六岳で最も日中の湿度の低下が著しいことがわかりました。相対湿度は、大気に含まれる可能な水蒸気量に対する値なので、気温が高いほど値が小さくなる傾向があります。
 このような調査をしたきっかけは、2000年の夏季に笠ヶ岳と黒部五郎岳周辺計8ヶ所に、小型センサーを置き観測したところ、北の黒部五郎岳に対し、南の笠ヶ山頂の気温が大きく上昇することに気づいたからです。笠ヶ岳山頂の最高気温は一時的ですが、30℃を越えることさえあります。
 この現象は、午後飛騨山脈が局地的な低圧部になることに関係すると思います。夏季晴天日の午後、日射により暖められた山脈斜面に上昇気流が起きて、低圧部ができます。また、北方の海に近い山ほど気温変化が緩和されるようです。証拠を固めるべく観測を重ねる必要があります。(中田 裕一)