吉城郡神岡町  ホーム 目次

神岡の段丘を上る桜前線

神岡城の桜 

 桜の開花が、冬の気温の影響を受けることはよく知られています。また春になると桜前線は、春の平均気温10度Cの地域を日本列島を南から北上します。2001年の4月に、段丘のある神岡の桜前線(ソメイヨシノ・エドヒガン)を調査すると次のことがわかりました。なお、8分咲き(花のつぼみが2割程度混ざっている段階)を開花日としました。
 段丘は4段あります。神岡の市街地の中心は最も低い高原川沿いにあり、標高は約390mですが、最も高い小萱地区では標高が580mになります。調査地では、市街地で4月16日に桜が開花し、桜前線は段丘を上がっていきました。遅く開花したのは、最も高い段丘面にある小萱薬師堂で4月23日でした。桜前線は、約200mの高度差を8日かけて上がったことになります。実感でも神岡では、段丘底の市街地と最も高い段丘上で気温は違います。たとえば段丘の上、小萱の飛騨神岡高校は雪であっても、市街地まで降りると雨のこともありました。
 細かく見ると、標高が低い割に神岡城付近の桜だけ周囲より開花が遅くなり4月19〜20日でした。その場所は標高約450mで下から1番目の段丘崖です。一方神岡城と同じ段丘面では、4月17〜18日が通常の開花期でした。神岡城で開花が遅くなる理由は、ちょうど神岡城付近が冬季の北寄りの風当たりが強いためだと推測できます。神岡城は、北西の風をまともに受ける場所にあります。(中田 裕一)