高山市  ホーム 目次

乗鞍岳に現れた吊し雲

乗鞍岳南方に現れた珍しい吊し雲(高山市より 丸山永二氏撮影) 

 2003年2月21日、午後4時半過ぎ頃から約40分間ほど乗鞍岳の南側に4、5段重ねのレンズ状の雲が見られました。ぐるぐると渦を巻いているようにも見えました。写真などでは似たような雲を見たことがありましたが実物を見た記憶はあまりありません。早速カメラを取り出しましたが、カメラの調子も撮影場所もあまりよくなく、この写真は、丸山永二氏(高山市役所)ものを借用しました。
 さて、この雲は多くの人々の関心をよんだらしく、ある複数の新聞に写真入りで報道されました。その中には傘雲とあっりましたが、乗鞍岳から南東方向にずれており、「吊し雲」というのが適当ではないでしょうか。ちなみに「かさぐも」の表記は傘雲でなく笠雲が普通です。
 笠雲と吊し雲など山によく出る雲についていろいろ調べてみました。やはり笠雲は、文字通り山頂が笠を被ったようなものをいうようです。ただ「富士山の笠雲百科」には、山頂に懸からずに真上に出現したものを「はなれ笠」とありました。ただし、今回の場合は乗鞍岳の真上ではなく、南東側へ離れているので吊し雲とするのが妥当なところでしょうか。穂高連峰の雲(乗鞍岳の左を撮った別の写真)は見かけ上、山頂上空のように見えるので「はなれ笠」としても良いかも知れませんが、東方向へ離れているかもしれないので断定はできません。この頃の上空の風のデータなどを集め、この雲の出た理由をもう少し詳しく調べ、改めて報告したいと考えています。(下畑五夫)