山之村の気温環境 |
冬の山之村 |
飛騨北東部にある山之村は、海抜900m、なだらかな丘陵地を伴う高原の盆地にあります。山之村小中学校の気象観測データを利用して、県境高原地域の気温環境を調べました。ただし、山之村小中学校の観測は、教育活動の中の観測なので、一日一回午前八時頃、原則開校日のみの観測です。その時、最高最低気温計から日最高気温と日最低気温も記録されています。 そこで、他のアメダスデータと比較するため、山之村小中学校の観測日のみのデータに絞って、同じような高原盆地の荘川村六厩とふもとの神岡のアメダスデータを比較しました。中でも、1月の最低気温の頻度、8月の最高気温の頻度を比較しました。期間は2000年から2003年、1月は64例、8月は78例でした。 六厩はアメダス観測所があり寒冷で知られる場所で、標高は1050mです。山之村より約100m高いことになります。 1月の最低気温頻度の比較では、神岡は頻度のピークが0℃〜−4.9℃であるのに対し、山之村と六厩は頻度のピークが−5℃〜−9.9℃でした。それぞれ24回と21回でした。特に−20℃以下の事例が、山之村で2回、六厩で3回でした。 8月の最高気温頻度の比較では、神岡の頻度のピークが30℃〜35℃であり、山之村と六厩におけるピークは25℃から29.9℃でした。それぞれ42回と50回でした。しかし、30℃〜35℃は山之村21回に対し六厩6回であり、30℃を超える最高気温の頻度は山之村のほうが高いといえます。 以上から、山之村の冬の最低気温は六厩と並ぶ気温環境、夏の最高気温は六厩に比べ高い気温環境だといえます。(中田 裕一) |