古川町の人工の霧 |
道路の消雪水がつくる霧
冬の飛騨地方では、雪が降ると道路の除雪が行われます。ただし、市街地では家が建て込んでいるため除雪が行えません。また、除雪を行っても道路が圧雪状態になるため、自動車のスリップ事故が絶えません。そんな状況を克服すべく古川町では、雪が降ったり道路に積雪があると、豊富な盆地の地下水をくみ上げて道路に散水しています。たいへん便利ですが、沿道の家では、シャーベット状の雪が自動車に跳ね飛ばされるためため、壁にビニールシートなどを張らなければなりません。 写真は、その道路の散水がつくった人工の霧です。地下水の水温が気温に比べて暖かいため、水面から蒸発した水蒸気のつくる霧です。お風呂の湯気が立つのと同じ理由で発生します。この霧ができるためには、夜間はむしろ晴天になり朝方十分に冷え込むことが必要です。そして霧は、背丈が低く道路の上にしかありません。自然の中でも、同じような霧が発生することがあります。湖面や水面から霧が立ちあがっていればこの種の霧です。 飛騨では、他に河合村や上宝村に同様の散水設備があります。上宝村では、地下水ではなく温泉水を利用しています。道路に埋めたパイプに約70度の湯を通し、その熱で雪を溶かすものです。雪道に慣れない観光客に喜ばれているといいます。(中田 裕一) |