ひだ・みの 活断層を訪ねて48  ホーム 目次

牧ヶ洞断層@ 緩やかな牧草地形成


断層は山列と牧草地の間にある=高山市清見町牧ヶ洞
 
 高山駅から西へ十`、車を二十分ほど走らせると、周りは美しい田園風景が広がる。二〇〇四(平成十六)年に開通した中部縦貫道高山西インターの北側の斜面に岐阜県畜産研究所がある。緩やかな斜面には二百頭あまりの牛が放牧され、牛はのどかに牧草を食べている。飛騨牛として有名な「安福号」もこの牧草を食べて育った。この付近は、古くは馬を野飼いしていたので牧ヶ洞とよばれる。
 牧草地の斜面は、山すそから下へ中部縦貫道まで続いているが、そこから地面は逆に盛り上がる。つまり、二十〜三十bの小高い山列が斜面の末端をふさいで細長く延びている。牧場からは、縦貫道の下、山列の切通し道を下れば、国道一五八号線や牧谷川本流の谷に出られる。牧場斜面は牧ヶ洞断層を境にできた斜面で、隣の前原谷にも同様の緩やかな斜面がある。
 山列は、牧ヶ洞断層の南東側の隆起(上昇)によるものだ。断層は高山市赤保木町付近から西南西へ延び、その長さは高山市清見町と荘川町まで全長約二十`である。牧ヶ洞断層は、三尾断層・夏厩断層とともに国府断層帯に含まれその最南端にある。さらに牧ヶ洞より東では、牧ヶ洞断層の南側に(短い断層をはさんで)高山盆地がある。牧ヶ洞断層は、高山盆地の北縁の形成に関係している。
 また牧ヶ洞断層は、他の国府断層帯の断層と同じく「右ずれ断層」でもある。そのため航空写真で小さな川を見ると、断層を境に反対側の流路が二十b程度右にずれてクランク状になっている。
 牧ヶ洞断層では、二〇〇一(平成十三)年にトレンチ(掘削)調査が行われた。調査によると平均的な横ずれ速度は、千年あたり〇・七b、活動間隔は三千六百年から四千三百年程度だという。
 清見町の山は広葉樹林も多く、秋には鮮やかな紅葉が見られる。この秋ドライブをかねてのどかな牧場へ出かけ、安福号を育てた豊かな自然を満喫されてはどうだろう。
(笠原喜之・飛騨地学研究会会員)2005年9月17日