ひだ・みの 活断層を訪ねて2  ホーム 目次

プラスの側面 耕作地や居住地つくる


岐阜県周辺のランドサット画像(ランド撮図、写真化学)
 
佐々木嘉三・小井土由光「岐阜県の活断層」1995、岐阜県
 ものが壊れる時には、割れ目ができる。主要な割れ目のほかに副次的な割れ目も生じる。大地の割れ目である活断層にもいろいろなレベルのものがある。また、活断層は常に同じ時期・期間で活動しているわけではなく、すでに活動を弱めたり、停止してしまっているものもあれば、いま活動のピークをむかえているものもある。  それらを活動度として表わし、大きいものから千年当りの平均移動量としてA級(一m以上)、B級(一m〜一〇p)、C級(一〇p以下)の三段階に分けている。
 日本列島には無数の活断層が存在し、とりわけ中部地方にはたくさんの活断層が分布する。それらのなかで活発的な運動をしているA・B級の活断層が、岐阜県下にクモの巣のようにいくつも走っている(図)。なかでも跡津川断層系、阿寺断層系、根尾谷断層系、関ヶ原断層系の四系統の活断層はA級に属し、特に注目しなければならない活断層である。
 活断層は、くりかえして大地をずらしており、今後もそれが続いていく。大地をずらす際のゆれが地震なので、活断層の存在に注目し地震の脅威に強い関心をいだくのは当然である。それは、活断層のもつマイナスの側面である。
 一方、活断層は大地の建設者としてのプラスの側面を持っている。われわれのまわりには、活断層の運動で造られた、平野、盆地、谷などが多い。濃尾平野もその典型例である。活断層のおかげで耕作地や居住地、交通路などが確保できているともいえる。
 活断層は恐ろしいものであるとともに、ありがたいものと考えることができる。
(小井土 由光・飛騨地学研究会顧問)2004、10月23日