ひだ・みの 活断層を訪ねて12  ホーム 目次

跡津川断層3 川の流れ直角に屈曲


跡津川断層が断層から離れて直角に曲がる場所=飛騨市神岡町土
 
東郷正美・岡田篤正「断層変位地形からみた跡津川断層」(一九八三、月刊地球)より作成、埋谷法接峰面図。
 岐阜県北部から富山県にまたがり約六〇キロの長さの跡津川断層は、各所に活動の痕跡を残し日本でも有数の活断層とされる。では、どのような痕跡が現在、見られるのだろうか。
 岐阜県と富山県の県境に近い飛騨市神岡町、その市街から北西方へ国道四一号線を自動車で走ると、国道に沿う高原川がほぼ直角に曲がる場所が二ヶ所ある。まず、北西に流れ日本海につながる高原川は、東漆山あたりでその流れを直角に曲げ、右(北東)方向に流れるようになる。それから、土(ど)まで約二・七キロ進むと、再び直角に左に曲がり流路の向きを北西へと直す。自動車で走っている限りでは、あまり意識することは少ないが、地図で見るとはっきりする。
 この直角に曲がる高原川の流路の変化は、跡津川断層の活発な活動によって土地が横ずれを起こしたからである。本来はまっすぐに流れていた高原川は、度重なる断層活動によって水平方向に二・七キロずれて、二ヶ所で折れ曲がるクランク状の流路の形になった。
 このことから跡津川断層は、断層の向こう側が相対的に右へ動いた(右ずれ断層という)ことがわかる。川の蛇行による流路の屈曲とは異なり、直角に曲がる流路の変化は大変興味深い。断層を横切る宮川の流路も同様の直角に曲がる傾向を示す。
断層を近くで見ると、断層による地層のずれや岩石が破壊された様子(破砕帯)を観察できるが、断層地形の全体的な特徴は、地図やランドサットのような衛星画像でわかる。
 地図や衛星画像から断層を「地学する」のも一つの方法である。かつてアルフレッド・ウェゲナーは、世界地図を見ていて、アフリカ大陸と南アメリカ大陸の海岸線がジグソーパズルのように組み合わさることに気づき、大陸移動説のヒントを得たといわれる。地図を眺め、断層地形を探すことは興味がつきない。
(三塚洋・飛騨地学研究会会員)2005年1月8日