原山断層 長さ6`、南側が隆起 |
高山市西方の新宮町には、市民スキー場として親しまれている原山スキー場がある。市街地から最も近いスキー場で、傾斜が緩やかであることから小さい子に人気があり、休日は子どもなど市民で賑わっている。近年は降雪量が少なくて利用できる期間が短いのが残念である。 原山スキー場の背後には松倉山の山地があり、山地と緩傾斜地の境界はほぼ直線状になっている。ここに原山断層があると推定される。原山断層は、高山市西一色町〜高山市清見町塩谷にかけて北東〜南西方向に走る長さ六`ほどの断層である。地形から推測すると、南側が隆起(上昇)した垂直断層と考えられる。他の活断層と同様に、地震を伴う断層活動が繰り返され、松倉山側が約二百五十b盛り上がったと推定される。 スキー場の緩斜面の砂礫は、断層背後の南側の山地が崩れたもの(崖推性堆積物)であり、「原山礫層」とよばれる。厚い砂礫層の下に断層面があるため断層の詳細は不明である。 原山断層は、おそらく百万年以上前から活動を始めた活断層で、江名子断層等とともに高山盆地をつくるのに一役買っている。さらにこの断層は、高山断層帯と国府断層帯の間にある断層で、両断層帯とは区別されている。しかし断層の走行(方向)はどちらの断層帯とも良く似ている。 原山ではスキー場だけでなく、夏にはハングクライダーが飛ぶなどスポーツをする姿も見られ、ふもとには宿泊施設もある。高山の人々は、断層を意識していなくても原山断層をうまく活用している。 さらに、断層背後の松倉山には、戦国時代の飛騨領主、三木自綱(みつきよりつな)による松倉城跡がある。松倉城跡には、石垣が残り散策路が整備されている。高山盆地も一望でき、ふもとの飛騨の里(民俗村)とともに、市民や観光客の憩いの場となっている。 (打江進・飛騨地学研究会会員)2005年5月7日 |