ひだ地学第122号 2004年11月24日発行   ホーム 目次

ふるさと地質見学会・高山盆地の地質

巡検日:2004年10月31日

宮川河床で説明する岩田副会長(岩盤は飛騨外縁帯の結晶片岩) 
 10月31日、岐阜の地学を学ぶ会の巡検に、飛騨地学研究会も協力して参加しました。参加者は、岐阜の地学を学ぶ会の公募に応じた一般の方30名程度に、岐阜の地学を学ぶ会から笠原、小野、木澤、藤岡さんらが来飛されました。飛騨地学研究会からは、岩田、中田、笠原、一般参加として清水治、後藤が参加しました。 集合場所の南小学校に到着すると、心配された天気もなんとか持ちそうです。まず、最初に行ったのが、原山スキー場。ここには松原礫層の露頭があります。この礫は分水嶺の向こう側にあるチャートや濃飛流紋岩からなります。年代は300万年くらい前、高山盆地が分水嶺で隔てられる前の礫層です。
 次に、高山市松本町の宮川河床に行きました。ここでは、基盤である濃飛流紋岩と飛騨外縁帯の結晶片岩との境を観察できます。10.20飛騨水害で、川岸がきれいに現れ、境界がはっきりとわかりました。濃飛流紋岩は、中生代白亜紀後期8000万年くらい前ころに形成された火砕流堆積物からなる岩体です。飛騨外縁帯は、古生代ペルム層(2億8千万年前ころ)の砂岩や泥岩を主体にし、一部、結晶変岩に変成しています。
 そして上野平に上がりました。天気が良ければ飛騨山脈の山々が見える場所ですが残念です。しかし、高台であるので、高山市街地や周囲の山は見えました。ここは高山軽石層や広殿軽石層など火山灰層の台地です。高山軽石層は、 万年くらい前に飛騨山脈付近から噴出したものです。松森神社で昼食でした。
 上野平を降りると、国道158号線の飛騨自動車学校近くで、丹生川火砕流の露頭を見ました。火砕流は10メートル以上の厚みがありますが、真ん中はゆっくり冷えるため岩塊になると聞きました。丹生川火砕流堆積物は、松原礫層の上にあり、176万年前の火砕流です。
 次に、高山市・滝町の上宝火砕流の石切場に行きました。上宝火砕流は65万年くらい前の火砕流です。流紋岩質の柱状節理がきれいでした。この節理の割れ目を利用して石を切っているようです。この火砕流は飛騨山脈期限ですが、御岳、乗鞍火山よりは古いといえます。
 付近を走る江名子断層の断層破砕帯を見ました。破砕帯は、高さ メートルの崖になっていました。断層の境には水がしみ込みやすいため、青っぽい土壌になります。江名子断層は、60万年前以降、上宝火砕流の後に活動を始めました。最後に見た片野町の江名子礫層は、江名子断層の活動によって生じた礫層です。
 以上、もりだくさんな巡検でしたが、一見ばらばらに見える地層や岩石をつなぎあわせ盆地の歴史をたどることができました。参加者の一般のみなさんが、たいへん熱心なのには驚きました。特に主な解説役をされた、笠原芳雄先生、岩田修先生、ご苦労様でした。