ひだ地学第89号 2001年8月31日発行   ホーム 目次

穂高岳・笠ヶ岳周辺の岩石と化石

巡検日:2001年8月4日

奥穂高白出沢の花崗閃緑岩の露頭で 

 8月5日の信州大学・原山先生の講演会に先駆けて、8月4日に岐阜の地学を学ぶ会との合同巡検がありました。当日、午前10時に高山市民文化会館に集合しました。メンバーは、岐阜の地学を学ぶ会から、笠原、鹿野、小野、藤岡、木澤の5名。飛騨地学研究会からは、岩田、鷲見、木下、小坂、中口、中田、そして午後から参加した下畑の7名でした。
 10時30分に出発し上宝村福地をめざしました。福地の古生層化石(4億8千万年〜2億4,500万年前)は、もう割られた後なのでそのへんの河原の石から拾うことは無理です。
 そこで地質図で見当をつけて山に登りました。石灰質の岩石を見ながらどんどん登っていくと、デボン紀のサンゴやフズリナの化石を発見できました。これら石灰岩は、今では付加体だといわれています。付加体とは、南方からプレートに乗ってきた島や海山が陸地に付け加わったものです。
 次に、上宝村一重ヶ根のJAストアー前の神社で昼食にしました。ここで下畑先生が合流しました。その後、新穂高温泉に向かう途中で大雨になってしまい、槍見温泉近くの砂防会館で雨宿りをしました。
 林道ゲートを鍵で開けて、白出沢まで自動車で行くと午後3時すぎです。鍵は、神岡営林署の許可を得たものです。雨宿りをしたこともあり滝谷へ行く時間が無くなりました。そこで、最も新しい岩体は滝谷よりむしろ白出沢であるし、滝谷には行かずもどることにしました。白出沢の露頭から滝谷花崗閃緑岩を採集して、滝谷花崗閃緑岩が地下で完全冷却したのはおよそ100万年前といわれます。その後70万年前以降から飛騨山脈が隆起して、地下の花崗岩類が地表に現れました。
 次は笠ヶ岳穴毛谷の砂防工事現場付近に行きました。やはり林道ゲートの鍵を利用しました。ここで、笠ヶ岳の溶岩である球顆流紋岩や火砕流起源の溶結凝灰岩を採集しました。笠ヶ岳の岩体の火山活動は、約7,000万年から5,500万年前のことです。
 上宝村栃尾の宿に到着すると夕方、6時近く。ちょうどよい具合でした。その夜は、話題発表を含めた懇親会でしたが、盛り上がったことは言うまでもありません。