ひだ地学第141号 2006年12月18日発行   ホーム 目次

上広瀬の玉ずい

巡検日:2006年11月23日

玉ずいの露頭で 

 さる、11月23日、巡検を行いました。場所は高山市国府町上広瀬の仮称「三角山」です。上広瀬のあじめ峡の集合地に行ってみると、集まったのは下畑会長、岩田副会長、そして中田会員の3名でした。天気は、曇り空だったので、盆地霧の観測はあきらめました。しかし、三角山の中腹に露出している崖へ行くことにしました。この崖は、数年前に山の木を切ってから見えるようになったものです。下畑会長によると、崖は、十三墓峠の崖、「玉ずいのとれる流紋岩の崖」とつながるものだそうです。地質図を見ると、玉ずいの岩脈は、ほぼ等高線に平行に十三墓峠から国府町宮地、荒城の谷を隔てて三角山周辺に分布しています。
 玉ずいは、石英の微小結晶が小さなすきまを伴い集まったもので、灰色や灰緑色、青色等の色がついています。色がほぼ均一なものを玉ずい、同心円状や線状に縞の模様があるものをメノウといいます。
 霧が出ていれば、今村峠から山頂に登り、そこから崖に下る予定でしたが、上広瀬から急斜面を登ることにしました。モモの果樹園の緩斜面を行くと、工事中の看板があったので、自動車を止めて歩きました。すぐに、堰堤をつくっている工事現場がありました。そこの岩石は凝灰岩のようです。ここから、山道をたどっていきました。急斜面を登りきると山の稜線になり、崖が見当たりません。少し降りると、下から「オーイ」と声があったので、西寄りの尾根を降りると崖がありました。
 崖は、下から見るより広く感じました。木が無いので、広く開けていて国道や高山線が見えます。そして、岩石を見ると、十三墓峠と同じ玉ずいがありました。こちらは、ほとんど採取されていないので良いものがあります。岩田副会長は、岩塊を乗り越え、崖の上のほうで写真を撮っています。そこまで行き、岩田副会長からあめをもらって休息しました。ここからは、高山盆地を北西川から望むことができます。手前に上野平があり、見慣れない角度から盆地の様子がよくわかりました。高山盆地には、丘陵地が多く堆積物の浅い盆地であることがよくわかります。また、同じ盆地の中でも、手前に向かって傾斜がどんどん低くなることもわかります。天気は曇りでしたが、位山も盆地の向こうに確認できました。岩の中に玉ずいが球果状に入っている様子が良くわかりました。
 下畑会長によると、同じ岩帯は、十三墓峠の東方の三休の滝付近にもあるとのことで、またどこかで行ってみることになりました。今回の収穫は、この崖が十三墓峠と同じ玉ずいの崖であることを確認できたこと、高山盆地の特徴がよくわかる写真を撮影できたことでした。昼ころには 下に降り解散しました。