ひだ地学第160号 2009年5月15日発行   ホーム 目次

中部縦貫自動車道・金桶トンネル

巡検日:2009年5月11日

太江断層の断面 

 平成21年5月11日(月)、中部縦貫自動車道バイパス「金桶トンネル」の見学会を実施しました。参加者は、下畑会長、岩田副会長、寺門会員、足立会員、中田会員他、飛騨高山高校の職員の皆さんを含め、総勢10名になりました。
 午後3時前に、金桶トンネル前に着くとみなさんは、すでにお集まりでした。まず、工事控所で、工事の概要について説明を受けました。金桶トンネル(正式名称:41号高山国府トンネル)は、中部縦貫自動車道高山ICから、国府町金桶を結ぶ全長約3.2kmの道路トンネルです。本工事はこのうち金桶側から約1.6kmを施工するもので、トンネルは3年後の開通を目指しています。
 トンネルの金桶側は、船津花崗岩地域ですが、トンネルの岩石としては花崗閃緑岩または閃緑岩を掘り進んでいます。その先は、飛騨外縁帯の岩石、砂岩や礫岩を主体とした岩石になります。
 トンネルを掘ることで沢水が涸れることがあるので、トンネル上の糠塚等では、溜池を作って、水確保の対策をしているとのことでした。トンネルの掘りやすさとしては、普通のようです。
 次に、自動車に乗り合わせてトンネル内部を見せてもらいました。トンネルは、本坑と避難坑を並行して掘り進んでいます。避難坑から入りましたが、途中から本坑に入り、本坑の先端を見せてもらいました。しばらくすると、サイレンが聞こえ、先に掘り進んでいる避難坑で発破をかけると聞きました。「音に抵抗がある人は、耳をふさいでください」と、案内者が言われましたが、音を聞くことにしました。やがて、「ドーン」と地響きがして、トンネル内が響き渡りました。確かにトンネルの中で聞くと何か不安になりましたが、発破の体験ができました。
 トンネルの先端では、閃緑岩のかけらがいっぱい落ちていました。地表では決して得られない新鮮な表面の岩石です。夢中で10個くらい拾い集めました。