ひだ地学第108号 2003年7月18日発行   ホーム 目次

宮川村万波周辺の牛首断層

巡検日:2003年7月12日

牛首断層にそう原山本谷(標高約1,100m) 
 さる7月12日(土)、予定どおり、万波・白木峰周辺の牛首断層巡検を行いました。メンバーは、岩田副会長ほか、田中、清水治、鷲見、寺門、黒田、中田の7名でした。飛騨山椒館(古川町民文化会館)に集合後出発しました。天気は、心配されましたが曇りでした。なんとかなりそうです。
 牛首断層は、跡津川断層の北方に位置し、全長50kmに及びます。また跡津川断層と平行に、岐阜県の最北部と富山県にわたって延びています。A級の活動度ではありませんが、明確な河川の屈曲や断層露頭が各所にあります。富山県境の白木峰は、標高1,586m、周辺の山も合わせてなだらかで隆起準平原地形です。そのふもとの万波は、標高約1,060mの高原状盆地です。万波の北方は白木峰・富山県となります。どこから行くにも険しい峠を登らなければなりません。かつては人が住んでいましたが、豪雪地でもあるため離村してしまい畑がつくられているだけです。万波に通じる飛騨側の楢峠は、江戸時代には越中方面にぬける重要な街道でした。
 途中、宮川村で「池ヶ原湿原」の話をしていたら、岩田副会長が、急に「政治家が得意とする所かな。」と聞いてきました。なんで政治家の話が出るのかしばらく考えてわかりました。「失言」のことでした。久々のだじゃれでした。
 万波へは、河合村の楢峠入り口に通行止めの看板があったので、宮川村打保の林道を利用しました。すると途中から雨になりました。先行きを心配していると、雨雲の上に出ました。万波では雨が降っていないばかりか、道も雨に濡れていません。そば畑、キャベツ?畑で写真を撮り、近くの河原に降りてみました。飛騨片麻岩の石ころがたくさん転がっていました。
 次にゴミ谷と万波川の合流地点で、堆積層に埋もれた多くの木材を見ました。何千年単位の新しい地層と思われますが、かつて付近が沈水した時期があるようでした。
 その後、牛首断層の地形を見るために、原山本谷から水無を目指しました。途中、通行止めの場所がありましたが、むこうの河合村楢峠方面から来た人に会いました。ここで、楢峠が通過できることがわかりました。地形図で見ると原山本谷は、白川村方面からの牛首断層が少し折れ曲がった場所にある直線状の断層谷です。天気は薄日が射してきて回復傾向になりました。
 岐阜・富山県境を越えると、立派なブナ林が残してあり、富山県立公園の看板がありました。皆伐状態の岐阜県側と対象的でした。そこから牛首断層の主要部である水無谷に入ろうとしましたが、峠を降りたところで残念ながら通行止めでした。大きなブルドーザーが「通せんぼ」をしていたので、歩いて先に行ってみましたが良い写真は撮れませんでした。
 そこで、原山本谷を万波分岐までもどって、小白木峰の西側から富山県・杉ヶ平に入りました。杉ヶ平は、白木峰の富山側登山口です。万波分岐では晴れ間があったのに、杉ヶ平方面に降りると曇り始めやがて小雨になりました。めまぐるしく天気の変わる日です。
 杉ヶ平に到着し、森林観察館で昼食にして見学をしました。白木峰がきれいな湿原を持った山であることがわかりました。しかし外は小雨だったので、白木峰に登ることはやめて、岐阜県側に戻り、万波分岐まで峠を登りかえすと雲は切れました。晴れ間も出ていて道は乾いています。どうやらこのあたりが天気の境界のようです。
 河合村楢峠が通れそうなので、さっき通った原山本谷から楢峠を越えると、眼下に古川盆地が見えました。飛騨内部は晴れていて、雲をかぶった乗鞍らしき山が背後にありました。
 今度は、天気の良い日に、「白木峰登山をメインに巡検を行おう」と話あいました。また牛首断層の主要部へは行けなかったので、白川村方面から行く必要があります。さらに白木峰付近は、おもしろい天気の境界ができることがわかりました。3時前には古川町にもどり、その晩の納涼会に照準を合わせて散会しました。