ひだ地学第107号 2003年7月1日発行   ホーム 目次

白川村の御母衣断層

巡検日:2003年5月25日

白川村木谷の御母衣断層による高まり(左手) 
 さる、5月25日(日)に、今年最初の野外調査に出かけました。行き先は、荘川村、白川村方面です。高校地学教育研究会の夏季野外巡検の下見と、断層調査を兼ねています。参加メンバーは、岩田副会長他、小坂、清水、木下、三宅、黒田、鷲見、寺門、中田の各会員でした。天気は曇り時々薄日でした。
 8時30分に、東海北陸自動車道清見インターに集合して、最初に行ったのは、三尾河(みおご)断層です。この断層は、ちょうど国道158号線沿いにあります。三尾河集落のマトバ橋のところに行くと、断層破砕帯特有の粘土化した崖が見えました。粘土化により、土壌が青っぽい色に変色した部分がつながっていました。またここを流れる三谷川は直線状の谷の中にあることがよくわかりました。
 次に向かったのは荘川村牛丸でした。ここは手取層の貝化石を産出することで有名ですが、あいにく川の増水期で、化石のある地層は見えませんでした。
 さらに、御母衣ダム記念館で小休止しました。この記念館はダムの上流側にありましたが、雪崩で倒壊したため、ダムの下流川に移設されたとのことでした。無料で入館できます。ここに、中部地方のランドサット画像があったので、夏季巡検のとき全体説明にちょうどよいと話し合いました。
 それから、白川村平瀬のモリブデン鉱山跡に行きました。残雪の残る三方崩山が見えました。鷲見会員に聞くと、今でも、モリブデン鉱石が拾えます。そこで鉱石土砂の堆積場に行きました。小坂会員によると、白い部分のある石を探すとよいとのことで、見本を見せていただくと、白いセキエイ部分に銀色に輝く鉱石がくっついていました。根気に探せば、誰でも鉱石を拾えそうです。
 次に木谷集落に向かい、段丘面に残る御母衣断層の断層崖(高まり)を見学しました。岩田副会長や寺門会員によると、かつてここで断層の掘削調査が行われたそうです。直線状の土手のような地形が残っていました。ここで、小坂会員から、ユキザサやジュウモンジシダを教えてもらいました。
 そろそろ昼になったので、白川村荻町の神社まで行って昼食にしました。どぶろく祭りのある神社です。その神社の境内には、あの荘川村竜ヶ峰と同じ竜馬石があることを知りました。看板を読んでみると、白山の神様への使いの後、竜馬がこの神社で石になったといいます。
 荻町手前には、飛騨トンネルの掘削工事現場への入り口がありました。トンネル見学のさいは、ここの事務所で説明を聞いてから行きます。
 昼食後、天正の大地震のとき崩壊したといわれる帰雲山のふもとに行きました。山頂直下には崖崩れの跡があります。最後に行ったのは、大久保池でした。断層上にあると思われる池です。ミズバショウを見ながらこの池のまわりを一周しました。
 帰る途中、荘川村で喫茶店に入り打ち合わせをしました。次回は、牛首断層、跡津川断層あたりを考えてみることになりました。