ひだ地学第148号 2007年7月23日発行   ホーム 目次

東海北陸自動車道・飛騨トンネルの見学

巡検日:2007年6月23日

工事中の飛騨トンネル内部 
   さる、6月23日(土)、飛騨地学研究会は、飛騨トンネルの見学を実施しました。河合口から入坑する予定でしたが、総勢18名の大人数が集まることがわかり、白川口からンネルに入りました。そのため白川村集合に変更になりました。急な変更だったので、事前に連絡いただいた方には通知しましたが、変更を知らず前の集合場所に行った方があったら、申し訳ありませんでした。
 飛騨トンネルは、最初、低い白川坑から掘りました。それは、出水があったとき、速やかに、水を下方に流すことができるからです。標高の高いほうから穴から掘ると、トンネルが水没する場合があるという説明を、前回の見学のとき聞きました。しかし、岩盤の良い部分は、河合側からも堀って、先日、トンネルは貫通しました。来年には、飛騨トンネルもできあがり、東海北陸自動車道が開通します。今回が、工事を見学できる最後の機会です。
 まず、白川村の事務所で、飛鳥建設共同企業体の筑地功さんから、トンネル工事の説明を受けました。トンネルの事前調査として、物理探査をしましたが、地表踏査で確かめた地質構造や断層の情報が一番正確だったそうです。トンネルには、森茂断層がかかっていることがわかっていました。その断層に付随する破砕帯があり、難工事だったようです。中でも大量湧水帯の所では、40t/分があり、今でも出水しています。そこを過ぎると、飛騨片麻岩の固い岩盤地帯になり、工事が進みました。トンネルを掘るマシン、TBMは、粘土層の土圧で計9回、身動きができなくなりました。また、トンネル内で、岩盤(山)が崩れる時、ごろごろと音がして、生きた心地がしなかったという話は興味深く思いました。白川村から高山市中心部が近くなり、白川村から市内の高校に通えることも、地元の人にとって歓迎だということでした。確かにそうでしょう。白川郷にとっても、トンネルの貫通は大きな意味があります。
 さて、自動車に分乗してトンネルに入りました。トンネルの下面は、まだ舗装がなく、かなりがたがた道でした。自動車はほこりにまみれ、どろどろ状態です。ときどき、降りて出水の様子、飛騨片麻岩の岩盤の様子を見ることができました。薄暗い電気の中で、デジタルカメラの感度を1600にして写真を撮りました。トンネルに入って約40分で向こう側の入口に見えてきました。河合口です。トンネルを出ると、青空に夏の緑が映えていました。山の中で不思議な感じがしました。出口では、トンネル工事に付随して様々な作業がなされ、ダンプカーも行きかっていました。そんな中で、トンネルの中から掘り出した飛騨片麻岩を拾わせてもらいました。硬くて縞模様のあるものを選び、授業の時に見せようと思いました。
 トンネルをもどり、記念写真を撮影して解散しました。天気は真っ青な夏空でした。下畑会長、鷲見会員らと御母衣断層関係の写真を撮影し、そばを食べ帰りました。