ひだ地学第111号 2003年12月22日発行   ホーム 目次

牛首断層のトレンチの見学

巡検日:2003年9月6日、11月3日

白木峰直下にある牛首断層のトレンチ地点(標高約1,300m) 
 この秋は会全体の巡検が組めませんでしたが、牛首断層のトレンチ調査を見学に行きました。2回とも緊急の情報だったため、事務局の1部のメンバーで行きました。
 1回目は9月6日(日)に富山県利賀川ダム方面でした。8月中の予定で、アジア航測の方がトレンチ調査をしているという情報が、加茂高校の木澤会員からありました。担当者に電話連絡をすると9月6日ならまだ作業をしているとのことでした。メンバーは、岩田副会長、寺門、中田の各会員です。
 天気は、午前中あいにくの雨でしたが、午後古川町民会館に集合して向かいました。河合村楢峠から、水無谷に入り、さらに牛首谷に行きました。前の巡検時は工事中で入れなかった林道です。富山県利賀川ダムを越えて牛首谷に入ると再び岐阜県です。インターネットで取り寄せた地図を参考に林道を行くと自動車が2台止めてあり、作業道が谷に続いていました。
 谷に降りると、アジア航測の3人の方が作業をしてみえました。ちょうど休み時間にしていただきました。トレンチ場所の写真撮影を行い、説明も聞くことができました。断層による溝状の地形の上を掘っていました。
 説明によると、牛首断層は、ほぼ平行する跡津川断層とは別の動きをしていること、水平ずれ断層のほうが逆断層などより、ずれに伴う溝状の地形が現れやすいこと、1,000年ほど前に活動があった痕跡があることなどでした。また、牛首断層は富山と岐阜両県にまたがるが、富山県側の新聞社のほうが関心を持っているそうです。美濃から見れば辺境の地だからでしょう。
 2回目は、11月3日(月)、文化の日でした。万波から白木峰の直下に入った谷に行きました。トレンチ調査の情報は、富山大学の竹内先生から寺門会員に連絡があったためわかりました。メンバーは、下畑会長、寺門会員、中田会員の3名です。富山大学地球科学科の巡検に同行させてもらいました。
 河合村の湯わくハウスで待ち合わせて向かいました。やはり楢峠から、原山本谷に入りました。霧で前が見えなくなり不安でしたが、峠を向こう側に降りると霧も切れて、富山大学の方々に会いました。そこで、牛首断層の露頭があることを教えてもらい、谷に降りると、断層破砕帯の露頭がありました。破砕帯が青く変色して粘土化しています。境界もはっきりしています。ここで写真を撮ってから、小坂谷の林道を終点まで行くと、トレンチ場所がありました。もう白木峰の直下で、付近はブナ林です。
 前回と同様、溝状地形の真上が掘ってありました。ぬかるみを登りました。そこでの説明によると、何回か活動の痕跡があるそうです。明らかに右側の谷とは別に溝がありました。掘削面は断層の食い違いがはっきりわかりました。そのうち、霧も出てきたので一路、帰路につきました。遠からず、トレンチ調査の報告書が出るそうなので楽しみです。牛首断層も、トレンチ調査や断層の地形や露頭などの執筆材料が増えました。このとき撮影した写真は、年明けの総会で披露したいと思います。