ひだ地学第104号 2003年1月16日発行   ホーム 目次

岐阜県の活断層懇談会

巡検日:2002年12月22日

断層の方向を確認する 
 昨年、12月22日(日)に、岐阜の地学を学ぶ会との共催で岐阜県の活断層懇談会が開催されました。場所は関市の関商工高等学校でした。飛騨地学研究会からの参加者は、下畑、岩田、寺門、鷲見、清水治、三宅、中田(兼任会員を除く)の各会員7名でした。岐阜の地学を学ぶ会と合わせると、20名近くの参加者がありました。
 懇談会の目的は次のようです。岐阜県は活断層の密集地帯です。その活断層の現況を調査、把握して、一般の方に役立つような、また教材として利用できるような出版物にまとめることです。
 とりあえず、今回の懇談会では、岐阜県各地の活断層の資料や写真を持ち寄って、発表会を行うことになりました。跡津川断層、江名子断層、阿寺断層、根尾谷断層、華立断層などについて、地図や資料、写真を用いた発表がありました。
 岐阜大学の小井土先生は、岐阜県からの依頼による「岐阜県の活断層図とその解説」についての説明をされました。その中で次の話が印象に残りました。最初、地図だけを作ってほしいという依頼であったが、地図だけでは解釈が一人歩きしてしまうので、解説も合わせてという条件で引き受けたそうです。
 もうひとつ、なんとなく使っている、断層、活断層、地震断層、断層地形という言葉についてです。地震断層は、地震時に動いたという人の記録のある断層(明治期の濃尾地震と根尾谷断層など)です。活断層とは、地震断層も含めて第四紀に動いた形跡のある断層のことです。
 それから、断層地形についても注意が必要です。根尾谷にある水鳥の断層崖のように実際に地面がずれた地形と、断層上が侵食されたケルンコルのような地形、断層運動の繰返しによる断層谷のような大規模地形、これら地形の意味の区別が必要です。
 懇談会の後、岐阜大学の小井土先生の案内で、関市の梅原断層の地形を見学しました。天気は快晴。最初、岐阜県立博物館前の津保川に行きました。川側が逆に高い階段状の地形がありました。川の反対側が総体的に沈下したということでした。それから、直線状に西に向かい熊野神社に行くと階段状の地形がありました。沈下した側は、水はけが悪く洪水時に沈水被害が多いという話でした。実際付近の家は、輪中のように石垣の上に建てられています。その後解散しました。